長年、就労支援アドバイザーとして、高次脳機能障害者の復職に関わってきた大場龍男先生の「復職教室」をオンラインで連続開催します。セミナー形式でなく、事例をもとに考えていくワークショップ形式です。
【今回の内容】
1 Aさん、63歳、12年前に脳梗塞、右片麻痺、失語症、身障6級
・貿易会社の事務経験あり、学習塾、カーブスを経営。コロナのため2020年6月廃業
・就労移行支援事業所に通い始めた(3日目)。PC入力や封入作業をしている。
・西村さんのオンラインST、ヘルパー週2(食事を作ってもらう? 話し相手として)
・障害厚生年金2級 月12万円ぐらい
・週3ぐらいで月10万円ぐらい稼げたらいい
大場:年齢から言っても年金もあるので働くというより勉強を教えるボランティアをやってみたらどうか。
A:かつて接触したことがあり、来てくれと言われたがそれっきりになっている。今は連絡してもコロナでやっていない様子、自分のような者が関わったら迷惑をかけないか。
大場:子供は多様な人と触れ合うのが大事。ボランティア団体もそういう考えだと思う。Aさんも子供と関わると元気さをもらえるだろう。ボランティアをきっかけに仕事の話につながるかもしれない。
西村:仕事はA型と割り切ってボランティアで生きがい(子どもを教える)がいいと思う。今、西村の関わっているA型にはAさんよりも重い人も働いている。
大場:今通っていいる就労移行支援でA型を探してもらうといいでしょう。3か月ぐらいしたらまた様子を聞かせて下さい。
2 Mさん 30歳、大手チェーン飲食店の正社員、『脳に何かがあったとき』10月号に登場
・最初に復職して6時間勤務だったが終わると倒れこんでいた。今も体はきつい
大場:お客さんが多いと瞬時の判断、臨機応変な対応を要求される仕事で健常者でも大変な仕事で交通事故がなくても40代ぐらいで脳出血を起こしてもおかしくない職場の印象がある。「復職は脳の最大のリハビリ」と言われるが、そのリハビリ効果を越えている、今のMさんの情報処理能力にあった別の仕事を考えてもいいと思う。
大場:Mさんは4年生大学を卒業しているし、まだ若いので今から別の職種を選んでもいい。障害者職業訓練校でITコースを受けてみるのはどうか? PCの検定を受けて事務系で働くのは?
M:IT系はあまり好きではない。子どもと接するのは嫌いではない。飲食業界でも子連れのお客さん用に遊び場を提供する動きもある。
大場:児童分野で働くにしても資格をとれば正社員採用につながる。すぐに転職して児童分野に就職しても嘱託ぐらいだろう。そのまま後30年もその地位では損。1,2年かけても社会人大学とか職業訓練校で勉強するといいと思うよ。
西村:放送大学もあるよ。
川崎市北部・中部リハビリテーションセンター、就労支援アドバイザー NPO法人翔和学園ワークセンター顧問 1979年京都大学経済学部卒業、 1983年国立秩父学園附属保護指導職員養成所(現・国立障害者リハビリテーションセンター学院)修了。 社会福祉法人富岳会、横浜市総合リハビリテーションセンターを経て現職