失語症について、少なくとも6ヵ月以上の長期にわたって回復を認める症例が多いことや、
訓練後に回復した機能は脆弱である可能性が高いこと、発症年齢、ウェルニッケ領野病変の有無、
発症から3ヵ月時の失語症重症度などが予後に重要な要因であることなどがわかっています。
これらの要因を考慮した上で、個々の失語症状タイプに合った適切な機能回復訓練が提供できれば、
言語機能に回復を示す可能性は高いことが示唆されています。
今回は比較的重度の失語症例のリハビリテーションの経過を中心に解説します。
重度であっても様々な変化があることを皆さんと共通の認識にすることができれば幸いです。
中川 良尚(なかがわ よしたか)
江戸川病院リハビリテーション科言語療法専門科長
言語聴覚士,臨床神経心理士,公認心理師,認定言語聴覚士(失語・高次脳機能障害領域)
1998年東京理科大学理学部卒業
2000年日本福祉教育専門学校卒業
2001年より社会福祉法人仁生社江戸川病院リハビリテーション科勤務
2008年筑波大学大学院夜間修士課程カウンセリング専攻リハビリテーションコース修了
2020年より江戸川病院リハビリテーション科言語療法専門科長
所属学会
日本言語聴覚士会:学術研究部部員,臨床実習水準委員会委員,代議員
日本高次脳機能障害学会:教育・研修委員会副委員長,機関紙編集委員会委員,失語症レジストリ委員会委員,Brain Function Test委員会委員,代議員
日本神経心理学会:評議員
認知リハビリテーション研究会:世話人
著書
失語症になったら最初に読む本(法研)
実践!失語症のリハビリテーション-症例から学ぶ訓練プランの組み立て方-
(新興医学出版社)
症例!失語症のリハビリテーション タイプ別23症例の言語訓練(新興医学出版社)
失語症ドリル改訂版(新興医学出版社)