吉開章先生 言語障害の「社会モデル」を「やさしい日本語」の視点から考える

日時
2025/10/24 (金)

19:00 - 20:30
場所
オンライン(Zoom)
講師
吉開章先生
参加費
無料

詳細

障害を「社会モデル」の視点から見ると、視覚障害や車イスなど移動に関する障害は点字ブロックやスロープなど設備投資が有効ですが、吃音や失語症など言語に関する障害は人とのコミュニケーションの場面で問題となるため、社会を構成する一人一人の考え方と行動を変えていく必要があります。


一方、日本に住む外国人住民や同じ職場で働く外国人同僚が理解しやすいよう、日本社会や日本語母語話者側が日本語を調整しようという「やさしい日本語」という動きが政策に取り入れられています。これは、語彙的に難しいものをかんたんに言い換えるだけでなく、流暢でない日本語に対して、日本語を自由に使いこなせる側が寛容な態度をとる重要性も含まれています。


当事者に日々寄り添うみなさん方は、事情を最も理解しているにもかかわらず、それを社会に伝えるすべも時間もないというのが現状でしょう。今回のお話では「やさしい日本語」という言語マイノリティに対する社会側の配慮の動きが、みなさんの関わる患者の方々にも大いに関係することを知っていただきたいと思います。


また、言語に関する壁のある方々は、自らの言葉で世に問題提起することが難しいため、支援者が協力・代弁していく必要があります。外国人に関することは日本語教育関係者が中心になって推進していますが、このお話がきっかけとなって、聴覚障害・吃音や失語症の方を支える医療関係者、特に言語聴覚士との方々と「やさしい日本語」を旗印に連帯して、社会側に働きかけていきたいと思っています。

講師

吉開章先生

2010年日本語教育能力検定試験合格。

政府交付金を得て2016年「やさしい日本語ツーリズム」企画を故郷の柳川市で実現。

2023年に独立し一般社団法人やさしい日本語普及連絡会を立ち上げ代表理事に就任、やさしい日本語の社会普及に尽力中。

著書に『入門・やさしい日本語』(アスク出版)

『ろうと手話 やさしい日本語がひらく未来』(筑摩選書)

『やさしい日本語3文トレーニング』(駒草出版)がある。

メディア掲載、講演多数。

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